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映画「文豪ストレイドッグス BEAST」
12月20日 完成披露上映会 オフィシャルレポート

12月20日、グランドシネマサンシャイン池袋にて、映画「文豪ストレイドッグス BEAST」の完成報告上映会が開催され、サンキュータツオ司会のもと、役者陣が撮影秘話を語った。彼らが演じるのは、本編とは異なる「if」の世界で、その運命に翻弄されるキャラクターたち。行方不明の妹を探す武装探偵社の芥川龍之介役・橋本祥平は、映画の制作が決まったときから上映を待ちわび、撮影中にも役者同士「楽しみだね」と語り合ったという思いを噛み締めながら「この日を迎えられて、そして、みなさまに見ていただけて本当に嬉しいです!」と会場を見渡す。だが、映画を見終えたばかりの衝撃冷めやらぬ様子で、客席には緊張感も漂っていた。「ポートマフィアの白い死神」こと中島敦役の鳥越裕貴が、その視線にプレッシャーを感じながらも「みなさん、楽しんでいただけましたか?」と問い掛けると……堰を切ったように巻き起こる拍手! 4人は、ようやく安堵の表情を浮かべるのだった。「僕も初めて見たときは言葉にならない感情を抱いたので、それをみなさんにも味わっていただけたのだと思うと嬉しいです」と、同じ気持ちを知る者として客席と結ばれたのは、物語の鍵を握る太宰治役・田淵累生。芥川の先輩である織田作之助役・谷口賢志は、自身の出演作とは「心もからだも痛めて大切に産んだ子供」のような存在だと言って「僕たちの赤ちゃんが愛してもらえた」と、頬を緩めた。

橋本と鳥越は、2017年初演から「文ステ」こと舞台「文豪ストレイドッグス」の核を担い続けてきた。「撮影中は、始終一緒にいました。本番では互いに『全力で殺し合うぞ』という熱量でぶつかり、休憩中には他愛もない話をし続けて、どちらもこの2人だからこその心地良い空気感だったと思います」と穏やかな表情で振り返る橋本に対し、鳥越の「相手を気遣えば、気遣った芝居になってしまう。今までの鬱憤をすべて祥平にぶつけられて、すごく楽しかった!」と、長くライバル関係を演じてきたからこその痛快な物言いも笑いを誘った。

一方、谷口が舞台「黒の時代」に出演した後から太宰役を務めることとなり、橋本と鳥越に「賢志さんは本当に怖い人だ」と嘘を吹き込まれていた田淵。現場でガチガチに緊張しながら挨拶するも、大先輩のリアクションは薄くて……と、今だから笑えるエピソードを明かす。実はそこには、初共演だからこそ、馴れ合わずに撮影に臨むことを決めていたという谷口の思惑があったのだ。まさに、本作で描かれる太宰治と織田作之助ともリンクする距離感を築こうとしていたことがわかる。「セリフで最初の挨拶を交わした感じになったのですが、本当はとても優しい方でした」と尊敬のまなざしを向ける田淵に「僕は、元カノの話をする男がカッコイイと思えない。今のカノジョを一番愛しているという気持ちで田淵累生と一緒に芝居がしたかったんです。おかげで、最高の時間を過ごすことができました」と、熱い言葉で返す谷口。織田作之助という役に惚れ込み、一作で彼を演じきって去るつもりだったものの、原作者の「谷口賢志の織田作之助を引っ張り出したいから『BEAST』を映画化する」という思いに応えて戻ってきたのだという彼の覚悟のほども伺える。

そんな役者陣の本気は、特撮の名手である坂本浩一監督のもと撮影されたハードなアクションシーンを見ても明らか。公演数が多いことからなるべく怪我をしないように付けられるという舞台での殺陣と違って「その場で、手足がもげてもおかしくないほど」の勢いと手数が求められるのだ。「何人か兵士をやっつける」とだけ書かれたト書きからは想像もしなかったアクションを担うことになった谷口は「実際にそこまで追い詰められたからこそ、映像からにじみ出る気迫がある」と語る。とあるシーンでの数十手を超えるアクションすら、その場で動きをからだに覚えさせながら撮影していったことについて、鳥越は「我々の異能力」だと冗談交じりに豪語し、それでも終盤にはアクロバットも入れながら楽しく積み上げていったことを伝えた。また、そうした試練のみならず、距離感0で相手を倒す気功のようなパンチを伝授してもらったことを、身振り手振りで自慢気に語る橋本の姿も。そのときの橋本と鳥越について「それはもう子供のように無邪気でした」と、田淵からの証言も飛び出した。

さらに、劇場入場者特典がサプライズで発表されることとなった。原作者・朝霧カフカ書き下ろし小説「太宰を拾った日」SideAとSideBが、2週に渡って配布されるのだという。この報を受け、役者陣も「えっ!?」「すごいタイトルですが……」「いや、でも……そういうことですよね?」「これは気になる」と口々にこぼしながら、客席と興奮をともにした。この「文豪ストレイドッグス BEAST」も、もともとは映画「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE」の入場者特典として書かれた小説から生まれ、また新たな展開の種となるかもしれないことを考えても、見逃せないものとなりそうだ。

「最高のキャストと最高のスタッフで作り上げた、最高の作品です! 何度でもご覧いただき、この作品を愛していただければ嬉しいです」(田淵)

「地毛を赤く染めていたので、織田作之助をやっていることがバレないよう、SNSに日常の写真がアップできなかったのが撮影中に一番ツラかったことです(笑)。それも堂々と言えるようになり、ついに完成したものを見ていただくことができて本当に幸せです。初演の舞台から映画まで、2人(鳥越、橋本)が魂を込めて引っ張ってきてくれました。いろいろある世の中ですが、みなさんと『文豪ストレイドッグス』を楽しみながら、これからの日々を過ごしていけたらいいなと思っています」(谷口)

「初めて『文スト』にふれる方にもわかりやすい、テンポの良いすてきな作品になっていると思います。アニメもゲームもありますし……何と言っても、こちらにはあんなタイトルの特典小説を書かれる先生がいらっしゃるんですよ(笑)。僕自身、この作品に携わって『日本語が本当に好きだな』と思うようになりました。ここからいろんな人に広めて、そのまま〝文スト沼〟に落としてやりましょう!」(鳥越)

「時世もあり当初の予定より遅くなったのですが、結果的に、舞台があった流れのままに撮影に臨み、約3ヶ月を役として過ごせました。僕としては、最高の状態で、芥川、敦、織田、太宰がこの映画の中で生きていると思ってます。来年1月7日、公開された際には、ぜひ、みなさまのお力をお借りして、いろんな方に見ていただき、一緒に盛り上がっていきたいです!」(橋本)

田淵のマイク使いやコメントに鳥越からダメ出しが飛ぶなど、密に舞台をともにしてきているキャスト陣だからこそのチームワークで繰り広げられた「文スト」愛の伝わるひととき。その思いが結実したフィルムを、ぜひ迫力ある劇場スクリーンで見届けて欲しい。